今回は「海外で日本語教師として働いてみたい」、「海外在住の学習者に日本語を教えてみたい」とお考えの皆様に向けた内容となっております。
最近、国内の日本語学校では日本語教師の不足を解消するために外国人教師の採用にも積極的に取り組んでいます。外国人教師は日本語や母国語を中心に数カ国語を話せるのが強みですから、将来日本で働く可能性がある留学生のサポートや海外向けの営業分野などでの活躍を期待して学校側は出身国を限定せずに門戸を広げるようになっています。
一方、海外における日本語教師の需要も近年、高まり続けています。昨今、日本における労働者不足が顕著なことであるという課題に対し、外国人労働者を積極的に受け入れようとする動きがみられることが大きな要因の一つです。
国際交流基金が行った「2021年度 海外日本語教育機関調査」の結果によると北米、東南アジア、東アジア、大洋州、西欧は、日本語教師の需要がある地域です。そして世界中で日本語教育の需要が最も高い地域が東南アジアと東アジアです。地域別日本語教育機関数において、東南アジアは約30%を占める結果となり、多くの人が日本語を学んでいます。この地域で日本語を学ぶ人たちの目的は、「日本での将来の就職」が約5割、「自国内での現在の仕事・将来の就職」が約4割で、日系企業の進出や外国人技能実習生、特定技能の増加にともない、日本語教育の需要は高まり続けています。東アジアでは、日本語教師の数は全世界の約52%、学習者数は約45%と日本語教育が盛んである現状が見られます。特に、中国では国際交流基金による2018年度の調査に比べて、2021年度の調査では日本語教育機関数、教師数、学習者数の全てが増加し、世界第1位となっており、日本語教育ができる人材に対するニーズが高まっています。この背景には、中国の大学入試センター試験(高考:ガオガオ)において、外国語選択科目として日本語が加えられ、日本語を学習する高校生が増加したことがあります。
当機構としましては、日本語教師の皆様が世界各国でご活躍できるよう、微力ながらご支援ができれば幸いだと考えており、その一環として5月11日(土)のオンラインセミナーは、「海外で働きたい!日本語教師が今、やるべきこと、知っておきたいこと」と題するテーマで開催させていただきます。
詳細はURL(https://x.gd/0rbYh)より、ご案内のチラシをご覧いただき、参加ご希望の皆様は、5月9日(木)までにご案内のチラシに掲載のURLまたはQRコードよりお申込みをお願い致します。(但し、定員に達した時点でお申込みの受け付けは終了させていただきます。)
なお、お申込みフォームの質問項目、「働きたい国」とその理由をご回答いただく際に「2021年度 海外日本語教育機関調査より日本語母語教師数(国際交流基金)」を下記URLよりご参考にしていただきたいと存じます。
また、国際交流基金の海外日本語教育事業の概要は、下記URLよりご覧いただける「日本語教育関係施策等の推進状況」の資料、36ページ以降の外務省関係に記載がございます。是非、ご一読いただきたいと存じます。
5月のセミナー情報は以上でございます。皆様からのお申込みをお待ちしております。
(ご参考)
■母語とは幼児期に最初に習得する言語という意味の言葉です。ある人が幼い頃に周囲の人が話すのを聞いて、自然に習い覚えた初めての言語を指します。
■母国語とは、自分の国の言語という意味の言葉です。自分が生まれた国や所属している国の言語を指します。母国とは、自分が属している国を意味しています。
■第一言語とは、習得順序が一番早い言語という意味の言葉です。ある人が生まれてから最初に接し、身につけた言語について言います。ほとんどの人が母語と第一言語は一致しますが、必ずしもそうとは限りません。また、この他に一番得意な言語という意味で使われる場合もあります。この場合は複数の言語の中で最も習熟度が高く、自分を一番うまく表現できるものを表します。
■2024年4月11日(現地時間10日)、米国ワシントンD.C.において、相航一在米国日本国大使館特命全権公使と、リー・A・サターフィールド国務次官補(教育文化担当)(Ms. Lee A. Satterfield, Assistant Secretary of State for Education and Cultural Affairs)との間で、「日本外務省・文部科学省及びアメリカ合衆国国務省の間の日本専門家のための教育・文化交流機会創出のための協力覚書」への署名を行いました。詳細は下記URLよりご覧下さい。この覚書を契機として、米国の学校で日本語指導助手として活動する若者が増加し、また、その中から米国において教員資格を取得し、日本語教師としてのキャリアを選択する者が増えることが期待されます。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_00599.html